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のび太の町内大冒険

のび太の

町内大冒険

後編


後半です。

基本的にこちらのほうが長いです。





「ここまでくれば、大丈夫かな?」

のび太は電信柱の影にいた。

スネ夫から逃げ出した後、途中でムス子さんに襲撃されたが、それはショックガンで撃退した。

「大丈夫だと思うけど、いつまたくるかもわからないよ。決定的なダメージは与えてないし」

「このまま家に帰れるかな?」

「どうだろう。倒したのは2人だけだし…」

「当たり前だ、この俺がいるんだからな」

頭上から声が響き、突如目の前に何かが降りてきた。

「ジャ、ジャイアン!」

「のび太、先生に反省文を193枚書かされた恨み、晴らさせてもらうぞ!」

ジャイアンはバットを上に掲げると、いきなりのび太へと飛び掛った。それと同時にバットを降ろし下から上へと振るう。

「うわぁぁぁ!!」

下からのバットによる殴打を、のび太は背後への跳躍によってかわした。

「のび太君、ショックガンを使うんだ!!」

「わかってるよ」

ドラえもんの叫びを聞き流し、すばやくショックガンの引き金を連続を持って引く。

ショックガンの銃口から光線が無数に発射される。

「な、なんだと!?」

バットを振り上げる勢いで空中に跳んでいたために、回避を取ることができない。

そこに上空から何かが落下してきた。それはジャイアンの目の前、光線の眼前へと落ちる。

そして光線をすべて受け止めた。

「え?なんだよあれ!」

ジャイアンの前にはラジコンロボの姿があった。

「スネ夫か?どこにいるんだ!」

ドラえもんが叫び、周りを見回す。

「ここだよ…」

ジャイアンの背後から小さな影がゆっくりと出てきた。

「スネ夫か。紙は貼ったんだろうな」

「コピーして町中に貼ってきたよ。今町中でのび太狩りを目指す人々が集っているよ」

「そうか。なら俺を援護しろ。今から奴を消し去ってやる」

ジャイアンはそれだけ告げるとのび太のほうを向く。

のび太は逃げずにその場にとどまっていた。逃げられなかったのである。

「さぁ観念しろのび太。ギッタギタにしてやるからな」

バットを構え、再びのび太へと突撃する。さらに背後からはスネ夫がラジコン飛行機とラジコンロボによる援護攻撃を行う。

2機のラジコン飛行機は1本のロープの両端を胴体部分に括りつけられている。

ラジコン飛行機はジャイアンを超えたあと超低空で飛行し、のび太の足にロープを巻きつけた。

「アアァァァァァァ!!!」

のび太は足を束縛されてしまった。そしてジャイアンからの一撃がくる。

「必殺!エンペラーバット!!」

宙へと跳び、大根斬りの要領でのび太の脳天へとバットを叩き付けた。

「ウッ…!!!!!!」

小さな嗚咽が漏れただけで、のび太は叫ぶこともできずにその場に崩れ落ちた。

「の、のび太君!!死んじゃだめだ!のび……」

いきなりパトボールに衝撃が走った。そしてコントロールを失ったパトボールは高度を落としていく。

「どこからかドラえもんの声がすると思ったら…」

パトボールの眼前には上空を見上げて両手を広げているラジコンロボとスネ夫の姿があった。

「ガハハハハ、これでのび太も終わりだな」

ジャイアンは高らかと笑い出した。まさに悪の親玉である。

のび太は足をロープで縛られていて動くことができない。もっとも、脳天を殴られて動くこともままならないのだが。まさに絶体絶命であった。

「さて、恨みを晴らさせてもらうぜ」

バットを投げ捨てると、手をボキボキ鳴らし始めた。

「くっ…うぅぅ…」

のび太は痛みに悶えていて、何もすることができない。

ジャイアンはそれをみてほくそ笑むと右腕をぐるぐると回しはじめた。

「これで、終わりだぁぁぁぁ!!」

ジャイアンの拳がのび太の腹にめり込みそうになるその瞬間、

上空に光が現れた。

そこから無数の釘が落ちてきた。

重力の力を得た釘は弾丸となり、ジャイアンたちへと降り注ぐ。

「グワァァァァァァ…」

ジャイアンは痛みを必死にこらえている。のび太はちょうどジャイアンが覆いかぶさるようになっていたので無事だった。

「い、今のうちに…」

のび太は足のロープを解こうともせずに匍匐前進の要領で進んでいく。

「それを僕が許すと思うのかい?」

声が聞こえ、同時に背中に何かが落ちてきた衝撃が走る。

それがスネ夫の声で、背中にいるのはラジコンロボだというのはすぐにわかった。

「ス、スネ夫…」

「逃がすわけにはいかないな。お前を捕まえないとジャイアンに何されるかわかったものじゃないからね」

この台詞をジャイアンが聞いたら激昂しそうなのだが、彼は今釘の雨を浴びて気を失っている。

「それにほかの人がお前を捕まえたら僕は10万を払わないといけなくなるんだ。それだけは絶対に防ぐ!」

スネ夫は自分の台詞により徐々に怒りを内に貯めていく。

「さぁ、潔く朽ち果てろ!」

スネ夫の手にあるコントローラーがスネ夫の手によりすばやく動く。まずラジコンロボがスネ夫の横へと退避し、

それと同時に空中で待機していたラジコン飛行機がのび太の上へと移動する。

その飛行機の両翼には円筒状のものが装備されていた。

「さぁ、焼夷弾投下だ!」

声と同時に機械音が響き、その円筒が下に、のび太へと落とされた。

それと同時に、のび太はあることに気づいた。ショックガンの存在に。

ショックガンは今ものび太の右手にしっかりと握られていた。

それを確認すると、すばやく構え2つの円筒へと立て続けにショックガンを発射した。

円筒はショックガンの光線を受け、空中で爆発する。

さらにのび太はラジコン飛行機に攻撃を行う。

「ちっ、なんて奴だ」

スネ夫は瞬間的な操作でラジコンを後退させた。

それによりショックガンの光線は遥か上空へと抜けてしまう。のび太は射撃の天才でもあるが、スネ夫の操作と自らの状態により外してしまったのだ。

「ハァ…まさかよけるなんて…」

体制を整えたのび太は、体を起こすと足に絡み付いていたロープを解き、立ち上がった。

そしてスネ夫のほうを向く。

スネ夫も邪悪な顔をしながらのび太のほうを向く。周りには2機の飛行機とロボットが待機している。

「見つけたぜぇ!!」

「あれが希望の星だ!」

刹那にのび太の背後から声が聞こえてきた。振り向くと、幾人もの人々が集まっていた。ほとんどがのびたと同じくらいの年齢で、

手には金属バットやナイフや箒、果てはハエ叩きまで持っている人がいる。

「ハハ、囲まれたようだね。まぁ、最後に捕まえるのは僕だけど、それまではあいつらにがんばってもらうとするよ」

スネ夫が不適に笑った。が、のび太はそれどころではない。

すばやく前後左右を見る。前にはスネ夫が、後ろには群集がいる。そして左右にはブロック塀。

逃げ道は一つしかない。

のび太はすばやくショックガンを2発発射する。目標は2機の飛行機。

咄嗟のことにスネ夫は反応できず、飛行機は光線の直撃を受けて墜落してしまった。

「な…グアァァ!」

続けざまにショックガンはスネ夫を襲った。なすすべも無くスネ夫は倒れる。

それを見届けると、のび太は走り出した。前方へと。同時に背後から大音量を有する足音が聞こえてきた。が、のび太の足は途中で止まってしまった。

前方からも群集が現れたのだ。

「ヒャヒャヒャ、10万円は俺のものだぜぇぇぇぇ!!!」

「何よ。私が捕まえてやるんだから。これでデパート試食めぐりの旅から抜け出せるわ!」

「ハッ、クズどもが。俺のオタグッズ出費の軍資金にしてやるわ!」

「女に貢がされて金が無いんだよぉ…」

「月末までの繋ぎだ!!」

みな各々の思いを胸に秘め、のび太捕獲を目指す。

彼らの手には果物ナイフが、カッターが、みかんの皮が、輪ゴム鉄砲が、その他さまざまなものが握られている。

「ま、前からも来るなんて…」

「食らえ!みかん果汁目潰し!!」

ボロ切れを着て痩せ細り、老け顔の男がみかんの皮を折り曲げてのび太の目へと果汁を発射した。

「ブグシャ!目に染みる……と思ったらメガネをかけてたよ」


反射的に目を押さえたのび太だが、自分がメガネをかけているのに気づいて平常心を取り戻した。

「しまった!気づかなかった!」

痩せた男はショックで倒れてしまった。

のび太はそれを確認もせずに左にあるブロック塀へと飛びついた。

のび太は運動神経はほとんど無いのだが、こういう危機的状況の時にはとんでもない力を発揮するのである。

今回も塀の側面に足をつけ蹴り飛ばし、その反動で塀を乗り越え向こう側へと降り立った。

塀の向こうから声が聞こえる。

「くっ、10万が逃げたぞ!」

「大丈夫、周りを囲めばいいのさ。いくぞみんな!!」

いつのまにか結束していた人々は、足音を拡散させ、塀の周りを取り囲んでいく。

「囲まれたか…。どうやって逃げよう…ドラえもん…」

塀の中に入ってくる気配は無かったのでひとまずは安心だが、それも気休めに過ぎないだろう。

周りを見ると、木々が生い茂っていた。反対側には縁側を有した家がある。

「そうだ!家の人にかくまってもらおう!」

のび太は独り言を大声で言うと、家屋へと歩いていく。

「すいませーん、5時間くらいかくまってもらえませんか?」

独り言に負けず劣らずの大きな声を張り上げると、中から老人が姿を現した。

「え?か、神成さん!!」

のび太が驚愕の声を出す。いかにもその老人は空き地の隣人、神成さんであった。

その神成さんの手には竹箒が握られていた。

「フフフ、飛んで火にいる夏の虫とはこのことじゃ!」

「そんな、空き地の隣に住んでたんじゃないのか?」

「残念だったな。お前を捕まえて10万円を手に入れるために金を出してここらへん一帯の家を貸しきったのだ」

のび太は貸切料が10万をゆうに超えているだろうと思ったが、口には出さなかった。

「では、おとなしくつかまってもらうぞ!」

神成さんはそう言うと、持っていた箒を木刀のように構え、縁側からジャンプし、重力落下を加えた箒をのび太に思い切り叩きつけた。

脳天に打撃を受けたのび太は声も発さずその場に倒れる。

「フハハハ、これで10万はわしのものじゃ!」

神成さんは高笑いをしながらのび太をロープで縛っていく。

「こいつを、スネ夫とかいうキツネのところにもっていけばいいんだな」

神成さんはそう呟きながら縁側から家の中へと入り、玄関から外に出ようとした。

「な、なんじゃ貴様らは!!」

いつの間にか玄関には大勢の人間がやってきていた。

「ヒャヒャヒャ、貴様のような老人に10万はもったいないぜ!年金で我慢してな!」

「なんじゃと、ニートどもがわしに歯向かうというのか?おもしろい、相手になってやろう!」

神成さんは縛ったのび太を背に担いだまま箒を片手に持ち、せまりくる金の亡者どもを蹴散らし始めた。

「ヒャァァ!」

「助けてくれぇぇ!」

悲鳴が玄関に響き渡る。

「まだまだ若い者には負けてられんわい!!」

縦横無尽に動き回る箒は迫り来る者どもを叩き、殴り、弾いていく。

「この! たかがハゲジジイが、調子に乗るんじゃねぇよ!」

女に貢いでいたまぬけそうな顔の男が砂を詰めた靴下で神成さんへと殴りかかる。

「甘いわ!」

神成さんはそれを横に転がることで回避。

起き上がると同時に箒で首筋を叩いた。

「うっ……」

まぬけ顔の男は嗚咽を漏らしながら土間に崩れ落ちた。

「くっ、年寄りのくせになんて強さだ……。みんな、いっせいに攻撃するぞ」

結束をして通じ合った金の亡者たちは、その力を使い、神成さんへのリンチを開始した。

「ハハハ、18対1で勝てると思っているのか?」

「ひ、卑怯者どもが……」

「そんな言葉、何の力も持たないぜ」

神成さんは木刀やフリスビー、ゲームのコントローラーの投擲、トランプ手裏剣、腐った卵などの多種多様の攻撃を箒と上下前後左右への回避運動で防いでいく。

そして攻撃する瞬間や、攻撃し終わった後にある一瞬の硬直状態を見切り、すばやく的確に箒で急所を攻撃していく。

「ギャブ!!」

18人もいた一斉攻撃部隊はあっという間に半分くらいになってしまった。

「どうじゃ、思い知ったか!」

言いつつ、たじろぐ民衆どもに箒による打撃を加えようとした。

だが、もう衰えてきた肉体は、その動きについていけなかったのだ。

神成さんの背中に電気のような衝撃が走り、同時に独特の炸裂音が聞こえた。

「ぐおっ!」

散々やられてぶつけようの無い怒りも頂点に達していた民衆は、その隙を見逃さなかった。

「それ、突撃!!10万円は目前だ!全員命を賭けろ!」

結束をした仲間たちは10人程度になっていたが、それでも彼らは神成さんという共通の敵のため、そして10万円のために最期の突撃を開始する。

「うぉぉぉぉぉぉ!」

武器など関係なく、全員が自らの体のみを信じ、体当たりを放つ。

一斉を有する衝撃が神成さんの全身に走る。

「ぬぅぁ、お、おのれぇぇぇ……」

神成さんの叫びも轟音で虚しく掻き消えていく。

体当たりの衝撃で弾き飛ばされたのび太はメガネをかけた肌の青白いいかにも不健康そうな青年に足をつかまれ、引っ張られていた。

「こ、これは…どうするんですか?」

「みんなで山分けしよう。一緒に戦った仲間だ」

いつの間にか彼らには奇妙な友情が芽生えていた。一緒に強敵と戦い、打ち倒し、より深く心を通わせあったのだ。

「これをスネ夫とかいう家に持っていけば10万円に交換してもらえるらしい。そこに行こう」

のび太は生き残りの民衆に神輿のように担ぎ上げられ、スネ夫の家へと連れて行かれた。

「うぅ…。あれ?ここは…」

のび太は目を覚ました。担ぎ上げられている最中に。

たっぷり10秒を持って、のび太は現状を5割ほど理解した。

「わぁ!!た、助けてぇ!!」

「こいつ、目を覚ましたぞ」

「放っておいたらいいんだ。どうせ縛られてるんだから動けないだろうよ」

のび太はわめき散らすが、彼らは何の動揺も見せない。たわいない会話を続けている。

「うっ縛られてるのか…。ドラえもぉぉぉぉぉん!!」

その時、上空から機械の音が聞こえてきた。それは段々とこちらに近づいてくる。

「な、なんだ…?」

仰向けになっていたのび太の視界にその物体が目に入った。

ミサイル。

すべてを覆い込む怒号が骨川家に響き渡り、光は膨張を起こし、爆発を発生させた。

「ギャアアアアア!」

悲鳴などすぐに爆発音に吸収され、熱気と光の中で虚しく掻き消えていく。


だが、のび太だけは運良く爆発の風に乗って吹き飛ばされ、隣の家の塀にぶつかるだけで済んだ。

のび太を縛っていたロープは爆発の衝撃でズタズタになっていた。

「いたた…。何があったんだ…」

枷は外れたが、のび太はそれにも気づかずに爆発の中心部を見ていた。

「どうだい。僕の作ったねずみ花火の威力は」

突然、背後から声が聞こえてきた。のび太は驚きつつも声のしたほうを向く。

そこにはあの出木杉の姿があった。

「出木杉!あのミサイルはお前の仕業だな!」

「ミサイルではない。ねずみ花火だよ」

「あれのどこがねずみ花火なんだ。そんな生易しいものじゃないぞ。殺戮平気じゃないか」

「まぁいい。僕が君を助けたのは、ドラえもんに頼まれたからだ」

のび太はあれが助けるという恋なのか疑問に思ったが、声には出さないでおいた。

そして、もう一つの疑問を口にする。

「ドラえもんに!?」

「そうだ。さっき電話で連絡があってね。君を無事に家まで届ければ過去の世界に連れて行ってくれるって言うのさ」

「結局もので釣ってるのか…」

のび太は少し残念に思ったが、助けてくれるというのだから気にしないことにした。

「僕は過去にいって日本を第二次世界大戦の戦勝国にするのが夢なんだ。やっとそれをかなえられるときがきた!」

色々言いたいことはあったが、とりあえず黙っておいた。

「さぁ。敵は排除した。家に帰ろう!」

出木杉はどこからかマイクロな銃を取り出すと、のび太を促しつつ歩き出した。

のび太もそれについていく。何はともあれ、家に帰れるのならそれに乗るべきだ。

が、安心はすぐに破壊された。

「見つけたわよぉぉぉ!!」

のび太は殺気ともオーラともつかぬ気配を背後に感じ、振り返った。

「し、しずちゃん!」

そこにはみんなのアイドル、静香がいた。仁王立ちをして。

「あんたを捕まえれば私に10万円が転がり込んでくるのよ。このチャンスを逃すものですか。10万円を手に入れて、焼き芋を100個買ってやるわ!」

静香は叫ぶなりのび太へと突進した。そのスピードは視覚では確認できないほどだった。

もはや理性を失っているのだろう。

「しずちゃん。早まるな!君はそんなことしちゃいけないんだ!」

「うるさいわね!邪魔なのよ!」

静香は出木杉とすれ違う瞬間に裏拳を腹へと繰り出した。

「ゴファァァァ!!」

出木杉は腹にもろに打撃を受け、アスファルトへと倒れこんでしまった。

「ギャァ!なんて弱さなんだ!」

のび太は不甲斐ない出木杉に見切りをつけ、単身で静香に対処することにした。

「ジュウマンエェェェン!!!」

静香は半狂乱でのび太へと襲い掛かる。武器などもっておらず、本能のみの素手による攻撃である。

「しずちゃん…。そんな狂った姿に……。すぐに元に戻してあげるね」

のび太は出木杉のところへと走った。うつ伏せに倒れた出木杉の右手から銃を抜き取る。

「ごめん!」

安全装置をはずし、引き金を引いた。

威嚇のため、地面へと。

腕のものすごい衝撃が走り、思わず仰け反った。

痛みをこらえながら前方を見る。

そのに静香の姿は無かった。

無かった?

のび太は咄嗟に背後を振り向いた。

だがそこにも静香の姿が無い。

「ここよ!」

不意に静香の居場所を示す言葉が聞こえた。上空から。

「な!?」

のび太は上を見上げる。青空と、徐々に肥大化していく影がそこにはあった。

静香は上空へと飛び上がり、のび太へ飛び掛る。

「ギャァァァ!」

重力の力で加速した落下攻撃にのび太は恐怖を覚え、すばやく真横へと回避した。

転がって着地予想地点から出た刹那、今までいた場所に轟音とともに静香が神速で激突した。

地面が揺れ、砂煙が経ちこめる。

煙は濃く、なかなか晴れない。

もはや捕まえるのか絶命させるのかもわからない攻撃だ

「い、今のうちに!!」

のび太は尻餅をついていたが、ふと我に返り、逃走を開始した。

のび太が持ち前の逃げ足で200メートルほど遠くにいたとき、アスファルトにできた窪みから、静香が姿を見せた。

「逃げたわね…。10万円が…」

静香は不気味に呟くと窪みからゆっくりと出て、歩き出した。


のび太は走りに走り、なんとか空き地にまでたどり着いた。ここからなら家にすぐ着くだろう。

ひとまず足取りを緩め、胸をなでおろした。

大勢の犠牲者が出たが、それ故に追ってくる人もほとんどいなくなっているだろう。

少しばかりの休息を取ると、また走り出した。

だが、安堵をするには少しばかり早かった。

後ろからなにか暴走した車が走ってくるような音が聞こえてきた。

のび太はそれに恐怖を感じ、振り返りもせずに全力で走り出した。

が、全力で走っているにもかかわらず、音は急速に大きくなってくる。すぐにでも追いつかれてしまうだろう。

だが家までもそう遠くは無い。なんとか走り抜ければ助かるかもしれない。

「ジュウマンエェェェン!!!」

背後から今度は奇声が聞こえてきた。間違いない。追ってきているのはしずちゃんだ!

対抗策なんてなく、ただ逃げるしかない。

のび太の速度はなおも加速を続けていく。恐怖の成せる業であった。

数十秒程度で家が見えてきた。同時に背後の静香も手を伸ばされれば捕まえられるほどまで迫っていた。

静香はとうとうのび太の横についた。スピードでは劣っているため、もう追い越すことはできない。

「見つけたわよぉぉぉ!!」

走りつつ、静香は今度はのびたとの幅を縮めてくる。

だが、窮地にもかかわらず、のび太には別のものが見えていた。ゴミ置き場にあるダンボールである。

それは、のび太が横を通り抜ける瞬間に蓋を開き、中から人の形をしたものを出した。

「のぉぉびぃぃたぁぁぁ!!」

「貴様を家には帰さない!」

その姿はあの安雄とはる夫であった。

「そんな!タクシーで世界一周旅行に行ったんじゃなかったのか……?」

のび太がそう呟いて2人のほうに注目していた瞬間、静香がのび太の首根っこをむんずと掴んだ。

「捕まえたわよ」

「わぁぁぁ!」

必死に振り払おうとするが、静香は意地でも離さない。

同時に安雄とはる夫がのび太へと飛び掛った。

「貴様から受けた恨みは忘れない!」

「地獄へ落ちろぉぉぉ!!」

はる夫の巨体によるダイブでのび太、静香ともに潰れてしまった。

「あんたたち、邪魔するんじゃないわよ!」

はる夫を蹴り飛ばして静香が立ち上がる。

「グボッ!」

はる夫は静香に飛ばされた衝撃で電信柱へと激突し、そのままゆっくりと下へ崩れ落ちた。

「くそっ!よくもはる夫を…。この悪女が…」

「なんとでもいいなさい。10万円は私のものよ」

「まず貴様を消してやる!」

安雄は頭の帽子を手に取った。それと同時に帽子の唾の部分が鈍く輝く刃へと変わる。

「タクシーの運転手を倒した威力を見せてやる!」

そしてそれをブーメランの要領で静香へと投げた。

「何よ、こんなもの!」

静香はそれを頭を少し傾かせることで回避した。

「残念だがそれはブーメランだ。戻ってくる」

「えっ?キャッ!」

安雄の言葉に合わせるように帽子はリターンし、静香の肩に切り口をつけた。

「や、やったわね…。でも……ただ済むと思わないわよね」

静香はポケットから手芸用の針を文字通り鷲掴みにできるほどの量、取り出した。

「針千本、飲んでみなさい!」

一斉に針を投げる。

「こんなもの!」

安雄はすばやくしゃがむと、地面に埋め込まれているマンホールの蓋を取り出し、それを盾にした。

針は超高速でそれに突き刺さる。だが貫通することは無かった。

「脇役の分際で、なかなかやるわね」

静香は舌打ちをする。が、すぐに突進を開始する。

「ハーッ!」

気合を込め、安雄の顔面にビンタを繰り出した。

唖然と静香を見ていた安雄はそれをもろに受ける。だが、根性により何とか持ちこたえた。

「こ、この…やろ…」

安雄はほとんど零距離まで迫った静香の足を思い切り踏みつけた。脇役だからこそできる姑息な業である。

静香は予期せぬ攻撃に声も発さずに身悶えている。

その隙をつき、安雄はポケットから丸めたマンガを取り出すと、見境なく静香の頭を殴り始めた。

頭を幾度となくシェイクする衝撃に静香は気を失いかけていた。

が、金の為、静香は力を振り絞った。

足に力を込め、安雄の股間を思い切り蹴ったのだ。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

声にならない叫びを上げ、安雄は倒れ、転げまわりだした。

「やっと倒したわ。さて、10万え……えっ?」

静香が振り向いたところに、のび太の姿はなかった。


「ドラえもーーーん!!」

のび太は2人が戦っている隙を突いて無事に帰宅した。

急いで自分の部屋へと上がる。

階段を上り、ドアを開けると、そこにはドラえもんと玉子の姿があった。

2人とも背中を向けている。

「ドラえもん、ママ。帰ってきたよ!」

玉子が2階にいることが多少気になったが、そんなことはどうでもよかった。

が、2人とも様子がおかしかった。

「グフフフフ…」

「ウフフフフ…」

「ど、どうしたの2人とも」

ドラえもんと玉子は立ち上がり、後ろ、のび太のほうを見た。

2人の目はすでに狂気染みている。手にはフライパンやロープなどが掴まれている。

「のび太君。今さっきお隣から聞いたけど、君を捕まえれば10万円が手に入るそうだね……」

「そうよ、のびちゃん。今月赤字なの。ママを助けると思って、生贄になって頂戴」

「そ、そんな、嘘でしょ……。ねぇドラ…わあっ!!」





最後のほうはかなり適当です。

これからまじめに小説書こうと思ってるので早めに終わらせました。

みれば見るほど下手な文章です。


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